料理人であるという自覚

私は、料理人である。

 

こうはっきりと言えるようになるまでには20年かかった。とはいえ、未だにどこかに疑問符は付いている。

 

私は料理人なのか?

 

疑い始めればきりがなく、自分で決めたからそのように呼ぶしか無く、ついにそれが自他共に認められる水準で、料理人ではなかろうかとつい最近思えるようになっただけだ。

 

料理をなりわいとして生きていることが料理人、というのであればもう既に20年料理人であるし、料理が上手いということが料理人なのであれば、3歳から天麩羅を揚げ始めたと親に言われているので上手くなければ何をやってきたんだという話になる。

 

料理人とは、生き方そのものから問われるジャンルの人間像ではないだろうかと私は思う。

 

サラリーマンとも、経営者とも違う、芸術家でもなければ宗教家でも学者でもない。料理人というカテゴリがある程度は認知されている、そういうものではないかなと。

 

決して威張りたいわけではない。肩で風を切りたいわけではない。料理人と書いた看板を背負って町中を練り歩きたいわけでも、ない。

 

それとなく、ああ、料理人というものはおかしな奴が多いもんだ、という昔からの概念と、この数十年の自分の生き様が重なり合い、今こうしてここに自分を料理人ではなかろうか、と認知する次第。

 

ここに皆様にお知らせ申し上げ候。